2016年12月09日

『この世界の片隅に』

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まだうちの近くにはこの映画を上映してるところがない。


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2016年06月22日

『国ってなんだろう?』

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「わたしはこの国に帰属しているのか。」 2016/6/22

わたしは学校で教えられていることを鵜呑みにし、
受験のための勉強だけをして来た世代です。
特に近現代史は「ぼんやりとごちゃごちゃと教えろ」と
教育指導要綱に書いてあったほどなので、
いいトシになって、やっと学び直しているのです。

パレスチナ問題、日本の近代、そして世界の今日、
こんなにわかりやすく説明して貰ったのははじめて。
そして、現在じぶんが感じている不安や疑問、気持ちの悪さ。
そういったものに答えが見つかった気がします。

いまの政権が目指しているのは、まるで明治時代のような脱亜入欧みたい。
日本ってそんなによその国よりも偉いの。賢いの。優ってるの。
それならどうして『ちっちゃな科学』でかこさとしさんが仰るように、
「…なぜ戦争が起きる前に止める方法が見つからないのでしょう。」
どうしてアメリカの言いなりで沖縄を犠牲にしてるの。

p.134~辺りにこの答えが書いてあります。
「…国家は国民のことを人格を持つ個人とは見ていません」
「…国の論理と人間としての論理は違っていて…」

選挙に行く前に、自分たちがいまどんな国に住んでいて、
誰に政治を任せようとしているのか、
この本を読んでよく考えるべきだと思います。


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2016年06月18日

『小さな本の大きな世界』

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「言葉にでくわしてしまう場所。」, 2016/6/18

もう十年以上前に、銀行系クレジットカードを使っていた。
毎月届く冊子に長田さんの連載があり、とても楽しみに待っていたことを思い出す。
のみならず、そのページだけスクラップしていた。

それ以外の新聞の連載もまとめて読めるとは、なんと嬉しいことだろう。
長田さんは決して声高に本を紹介しない。
それなのに紹介された文章を読んだだけで胸がいっぱいになってしまう。
その本を手元に置きたくなってしまう。

いったいどういう魔法か。

信頼に足る文章を書くということはこういうことなのか。
145冊のうち、知っている本さえも新たな輝きを見せる。
もう一度読み返したくなる。
石井桃子さんからの手紙などはもうそれだけで物語になっているほど。
妬ましいくらい魅力的な文章なのだ。

わたしのお気に入りは『千曲川のスケッチ』を紹介した文の最後。

 本というのは、場所なのです。あるとき、じぶんにとってのぬきさしならない言葉に、思わずでくわしてしまう場所のことです。続きを読む
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2015年12月20日

『声』。

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 クリスマスが近い。


忙しさを癒すには。
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2015年08月18日

『100万分の1回のねこ』

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「100万分の13。」, 2015/8/17

『100万回生きたねこ』を開くとき、
これはわたしが語りたかったものがたりだと歯噛みする。
また別の日に開くとき、
これはわたしが聞きたかったものがたりだと思い知らされる。

ぜいたくな本だ。
13人ものトリビュート作品が読めるのだから。
でもやはりカバー曲がオリジナルを超えないように、
わたしが語りたいし聞きたかったものがたりは少なかった。

「生き切る」ねこはあと99万9千9百86匹。
じぶんのものがたりを見つけたい。


100万回でもよみがえりそうだなぁ…。
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2015年08月05日

『最後の詩集』

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「詩人を愛す。」2015/8/5

わたしたちが「この詩が好きだ」と言うとき、
ほんとうはその詩を書いた詩人の思想を、
あるいは詩人本人のことを好きだと言っているのではないか。

数多あることばの中で、たったひとことが琴線に触れたとき、
想いを同じくするひとを見つけたよろこびに、こころが熱くなるのではないか。

(それを鶴見俊輔は『神話的時間』と呼んでいたっけ)

わたしにとって長田弘はそういう詩人だ。

声高にではなく、阿るでもなく、いやに明るくせず、
しかし過不足なくことばを綴るひと。
かれを知ってたかだか二十年くらいにしかならないのだが
おりおりに、かれのことばになぐさめられて来た。
エッセイにもかれの人となりが感じられ、かれのようでありたいと思った。

(わたしに)必要なのは、だから、(長田弘の)詩だ。

かれの遺した数々の本は、これからもわたしの傍にある。
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2015年04月17日

『きみへのおくりもの』

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「こころときめかすもの。」,2015/4/11
お話としてはとても単純で、よく言えば素直な、悪く言えばひねりのない展開です。
でも、このくらいストレートに一生懸命に愛を表現できるクロと、
クロの気持ちがよくわかっていてしっかり受け止めているシロ、ステキですよね。

刀根さんの魅力はやっぱりその絵。
この作品では淡い青から深い青までありとあらゆる青に出会うことができます。
湖の青も夜空の青も森の青も見飽きません。
くどいくらいに描き込まれた星々やハートの数々。
シロとクロの想いのたけのようです。

バレンタインデー向けに創作されたそうですが、
あたたかい気持ちになりたいときは、いつでも開きたい絵本です。


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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』

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「日本人であることが悲しくなってきた。」, 2015/4/2

何にも知らずにのうのうと半世紀も生きて来てしまったことにも。
じぶんの身に降りかかったことでなければ、
いくら報道されようと対岸の火事なのだ。

「基地」や「原発」に限らず、ほとんどのことが、
この国では決められないのですね。
どおりで海外に於いても、国民が守られないワケだ。

でも、いまは知っている。
「どうせ何も変わらない」と諦めるのではなく、
もっと知ってほかのひとたちと共有したい。
政府が憲法を変えたがっているほんとうの理由も、
もっと話し合わなくてはと思うのだ。


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2015年02月28日

日本翻訳大賞。

 仕事やら編み物やら球根の仕込みに追われているあいだに、日本翻訳大賞なる文学賞が創設され、締め切りギリギリになってから推薦してた一次選考が終わり、二次選考対象作品が発表されておりました。
posted by おかめ at 17:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2014年11月29日

『まばたき』

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「まばたきしちゃうのももったいない。」,2014/11/29

たとえば、集合写真。
何度シャッターが切られる瞬間に目を閉じたことでしょう。
あの間の悪さ。あのきまりの悪さ。
この表紙はわざわざその瞬間をとらえています。

このときに何が起こったのか。

ちょうちょや鳩時計、いたずら好きの猫…。
目を閉じた瞬間の出来事は、たしかに見てはいないのですが、
わたしたちの脳はうまくつなげて勝手に出来事をつくり上げてしまいます。

鳩時計の鳩ってこんな格好なの。
猫はこんなふうにおそいかかったの。
角砂糖は傾いていたのね…。
ちょっと想像とちがったわ。

この絵本の構想はなんと七年も前なのだとか。
穂村弘さんのほんのひと言だけのお話に、
酒井駒子さんは絵でさらに奥行きをあたえています。

『砂糖ちゃん』はだれかのくちづけを待つように目を閉じていたけれど、
みつあみちゃんのまばたきはとても無防備。
くれぐれも急いだり慌てたりしませんよう。
みつあみちゃんの目は、さいごにひらかれます。
あなたを、見ています。
まばたきとは、一瞬を記憶にとどめるための装置なのです。


みつあみちゃんのどアップにびっくり。
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2014年10月19日

『優雅なのかどうか、わからない』

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「優雅そのものじゃないの。」, 2014/10/19

どうにも地に足の着いていない感じが、読んでいて落ち着かなくさせる。
だってお金持ちが湯水のようにお金を遣うお話なんだもの。
簡単にブランドもののインテリアを買い、家のリフォームも最高の状態。
中学生のように妻以外の女性にこころ惹かれ(そもそもどうして妻と結婚したのかは疑問)、別れた後の再会でただただ翻弄されてしまう。

ちょっと、イラッと来る。

そういえば前作の『沈むフランシス』に出て来た男もお金持ちだったわ。
浮気もしてたわ。
なんだかバブル期の浮っついた生活が止められないって感じ。

じぶんが男性じゃないから感情移入して読めなかったのかも知れないけれど、
離婚の原因ともなった恋人の境遇には共感出来ました。
いっしょに暮らすのではなく、家から離れて逢う。
介護から完全に抜けることは出来ないのだが、
恋人にその生活の一端を担って貰うことは、何かが違うのだ。

ちょっと、全体的に物足りない感じ。
恋愛と介護以外のエピソードが消化不良な感じ、かな。
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2014年07月06日

『古代の遺物』

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「日常の中の奇譚。」

この作家のことを寡聞にして知らず、ただ訳者陣に惹かれて読んだ。
冒頭の表題作で軽いジャブを堪能したあと、
二作目の『彼女が死者に贈るもの』でぐいっと引きずり込まれた。
というか、この作品がわたしにとってのクロウリーだと断言してもよい。

一読してなにか忘れ物をしたような気になってこんどは丁寧に読み返し、
すっと読み飛ばしていた伏線を見つけて納得し、
ラストでは再び映像が脳裏に浮かんだ。
じぶんの耳に、

 落ち葉が一枚、大地に散らばる仲間に加わるときにかろうじて聞きとれる、

あのかそけき音が響いた。

三作目に取り掛かるまで、しばらく時間を要した。
十二編のどれも面白く読み応えがあるのだが、わたしにとってはこれがいちばん。
これを機にクロウリー作品を読んでみようと思い、
まず地元図書館の蔵書を検索したら、全て揃っていた。
図書館の力を再認識した一冊ともなった。


23:45 追記。
posted by おかめ at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2013年12月19日

『ゆきがふっている』

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「雄弁な絵本。」, 2013/12/19

まず、そのたたずまいに気がつかれるでしょうか。
あまりにさりげないので、通り過ぎてしまいそうです。
手に取ればそれはまさに「ゆき」のように儚げで、
でもしっかりと印象を刻み付けます。

声に出して読めば、時間さえその場にとどめておけそうです。
それにしても、このデザインこの装丁、開くのも開かないのももったいない。
ポケットの中におさまる、壮大な雪景色です。

この本については発行したタムラ堂さんのHPをどうぞ。
1962年初版の原著は既に出版もされていず、
古本市場でも高値がついているようです。
日本語に訳されてしまったレミーのもともとのことばも、知りたいものです。


絵が語ります。
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2013年11月24日

『沈むフランシス』

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「こんどは冬景色。」, 2013/11/24

小説を読む愉しみのひとつに「じぶんではないだれか」の生活を知る、覗き見る、ということが挙げられる。
『火山のふもとで』と同様、わたしの知らない、想像すら出来ない人々の日常を読むことが、どうしてこんなに面白いのだろう。
それは、じぶんが選び得たかも知れない人生だからだろうか、絶対に選ばない人生だからだろうか。

松家氏の文章はいつものとおり簡潔。自然描写はそのまま心情描写となり、読者に深い印象を残す。
いつもおもうのだが、ひらがなの遣いかたが絶妙で、「え、このことばをひらがなにするの」という軽い驚きとともに、頁全体を見たときの圧迫感の少なさにも感心する。
意地悪いひとなら「原稿用紙の枚数稼ぎだ」と言いそうではあるが。

なんだか散漫になってしまった『火山のふもとで』の終わり方に比べたら、わたしにはこちらのほうがはるかに納得の行くものでした。
タイトルやカバー写真からは露ほども窺えない恋愛小説なのでした。


読みましょう。
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2013年11月20日

『さみしかった本』

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「ひとの記憶や気配を詰め込んだ器。」, 2013/11/20

子どもに本を読んであげたかたならわかるでしょう。
何度でも同じ本を読んでもらいたがります。
繰り返し繰り返し読むことによって、その本をじぶんの血や肉にしているのです。
繰り返したくさんの子どもたちに読まれたこの本は、どんなにかしあわせだったことでしょう。
多くの子どもたちとの出会いは、この本をさらに味わい深くしたはずです。

たまたまこの絵本と同時期に『古本の時間』という本を読んでいました。
石神井書林の店主、内堀弘さんの書いたエッセイです。
その中にこんなエピソードがあります。

 転々とした本といえば、面白い本を買った。大正十一年に出た『続歌舞伎年代記』。(中略)…巻頭には「贈呈志賀直哉様 田村壽二郎」と著者の息子による献呈署名が入っている。志賀直哉の書架にこの本は永く置かれていたのだろう。先ほどの署名の横に、今度は「転贈 阿川弘之様 昭和二十六年六月 志賀直哉」とある。志賀は書架の本を阿川弘之に贈ったのだ、と、その横に「転々贈 千谷道雄兄 昭和二十七年九月 阿川弘之」と献呈署名がある。…さらに並んで「転々々々贈 佐藤様 昭和六十三年 千谷道雄」とある。これほど来歴を残した本も珍しいが、こんなに幸せそうな本もそうは見ない。
 本は、あれこれの人の記憶や気配を詰め込んだ器のようだ。人の手を経ながら、どれもみなたった一つの本になっていく。(後略)

まさに、この本のことのようではありませんか。
大人になってから再会出来たアリスもまた、この本によってたったひとりのじぶんになったのです。
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2013年10月11日

ノーベル文学賞。

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 ことし下馬評に挙がっていた候補者は、少なからずわたしをドキドキさせてくれました。


読んだことある?
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2013年08月28日

『世界を回せ』

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「語られるべき物語。」, 2013/8/28

アイルランド生まれの作家というだけで、
「このひとは語るべき物語をたくさん抱えているに違いない」
というバイアスを、わたしは懸けてしまう。
今回もそれが裏切られることはなかった。
(ここでちょっと先に邦訳の出た『ゾリ』を読んでいないことを後悔する)

生まれはアイルランドでも、世界中を旅し生活を営んだ経験が、
人種の坩堝であるニューヨークの物語を生き生きと映し出す。
しかしそれは現在の姿ではなく、1974年8月7日のことである。
そう、ご存知のかたも多いだろう。
フィリップ・プティがワールドトレードセンターで綱渡りをした日だ。
空中でのことはほとんど書かれてはいない。
地上の人びとが、実際には顔を合わせなくても係わり合って世界が動いていることが語られている。

タイトルはテニスンの詩"Locksley Hall"から取られている。
実はこの詩も"al‐Mu‘allaqt"(ムアッラカート)に強い影響を受けていると著者付言にある。
災厄や荒廃や絶望。
それでも生きている限り、ひとは希望を失わない。
いや、希望があるからこそ生きていかれると言うべきか。

神よりも神のように慈悲深いコリガンと娼婦のジャズリンが事故死したあと、
大人になった娘のジャスリンの現在を書くことで過去と現在をも繋いでみせた。
こうしてまた「世界は回る」のだ。

回って回って回って回る。
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2013年05月25日

『コリーニ事件』

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「過去は変えられない。」, 2013/5/25

衝撃的な殺人の現場から本書は始まる。
執拗な傷つけかたから動機は怨恨に拠るものと推察されるが、
犯人は黙して語らず、新米弁護士は繰り返し書類を読み返すことしかできない。
しかし、現場写真を見ていて気がついた。
凶器はワルサーP38。
言わずと知れた第二次世界大戦中にナチス・ドイツ陸軍に制式採用された銃である。

ここから被告人の悲しい過去が浮き彫りにされて行く。
五十八年の歳月を経て復讐を果たしたコリーニは、じぶんの罪をよく理解していた。
それでも晴らさなければならなかった恨みである。
人間が人間に対する非情な、非人道的な振る舞いにも驚かされるが、
法律によって(わたしには身勝手で不公平な内容にしか思えないが)それが正当化されていた上に、「戦時だから許される」といった判断をしてしまう愚かな理性にも呆れる。

こうして、わたしたちは思い知らされる。
踏みつけにされた人びとのこころが癒されることは絶対にないのだと。

本書が出版されたあと、ドイツ連邦法務省は「ナチの過去再検討委員会」を設置した。
これはナチ犯罪の共犯者に対する時効の問題を扱うものである。
臭いものに蓋をし続ければ見なくても済むが、見ぬふりはもうやめたのだ。
日本でも戦争を美化して語ったり、当時の軍人を神として崇めるのはいい加減にしたらどうか。
現在の政治家でも従軍慰安婦に対して軽はずみな発言をする者がいる。
いくら戦後の生まれとはいえ無神経に過ぎはしないか。
弱い者に寄り添う気持ちはないのだろうか。

本書のラストは少し肩すかしを食らったように感じるが、これが当然の帰結だろうとも思う。
誰にも言えない錘りを抱えて生きて来たコリーニのこころのうちを慮るに、ただただ痛ましい。
この国ももっと変わらなければ。わたしも何かしなければ。


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2013年04月14日

『ガール・イン・レッド』

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「インノチェッティって、」, 2013/4/14

いままで古いふるい童話や史実をもとにした物語を
絵本にして来ましたよね。
今回は赤ずきんを題材に、現代に置き換えて描いてます。

それでも見た目の可愛くない子どもたちや
緻密に描き込まれた画面は紛れもなくインノチェッティ。
語りのおばあさんは人形かと思うほどちいさくて、
でもお話の終わりにはちゃんとマフラーが長〜くなってるのだ!

このお話が行き着くべき終わり方と、
聞き手が聞きたい終わり方が用意してあります。
どちらを選ぶかは、お好みで。
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2013年02月23日

さよならプロイスラー。

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 18日、オトフリート・プロイスラーが亡くなりました。


しまった気づかなかったぜ!
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2012年06月10日

『エドガー・ソーテル物語』

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「spectacles.」, 2012/6/10

これは、ひとくちに「○○についての物語」とは言えない。
でも、ひとことで表すなら"spectacles"、「目を見開くようなもの」だ。
血族の愛憎と、単なるペットや商品としての犬ではなく、
共に生きるパートナーとしての犬を描いている。

『ハムレット』や『罪と罰』などを下敷きとしつつ、
まったく違う世界をつくり上げているといっても過言ではないだろう。
遺伝交配や進化論を絡めつつ、犬が手話を理解し、訓練される過程も面白い。
エドガーの成長物語として読めばラストがあまりに悲しいが、
ソーテル犬の完成と理解すれば必然だった気もする。
(それは野生に帰ることと紙一重のようにも思える)

読みながら、できることなら時間を巻き戻して登場人物のひとりひとりに
わたしが知り得た真実を告げてあげたいとさえ思った。
そうすればこの物語がいつまでも終わらずに続くのではないか。
エドガーの育てた犬たちが活躍するのを見られるのではないか。
スティーヴン・キングの書評ではないが、
ほんとうに、もっと読んでいたい物語だった。
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『雪と珊瑚と』

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「1%の悪意。」, 2012/6/10

どうしたってとんとん拍子に話が進んで行くように感じられてしまい、
現実にはこんなにうまい話はないよなぁ、とも思えます。
しかし、梨木さんには珊瑚という人物像を描くのに、
借金の貸し付け審査などの細かい部分で
苦労したことをぐだぐだ述べるよりも、
もっと力を入れたいエピソードがあったのです。

食べることは生きること。
生まれて来たからにはその生を全うしようとする人間の本能が珊瑚の生きかたから読み取れます。
また、産んだからにはその生を全うさせてあげようとする意思も。

何かを成し遂げようとする意思はそのままひとと繋がる原動力となり、
思いがけず「ひとりで生きているのではない」ことに気づきます。
真に「ひとりでは生きられない」ということも、読者も理解します。
周囲はもちろん善意のひとばかりではありません。
そんなところも見逃さずに書いてあるところが現実的です。

私的なことですが、大家族で育ったわたしには実母の苦労が目に見えてわかっていました。
そんなとき、ごはんを食べて「おいしい、しあわせしあわせ」と言うのが常でした。
イヤなことがそれで帳消しになるわけではないけれど、
それだけで気分が上向き、確実に前に進める気がしたものです。
梨木さんもそのことを知っている、細胞ひとつひとつから滲み出たことば。
「おいちいねぇ、ああ、ちゃーちぇねえ」
posted by おかめ at 01:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2012年04月25日

『残念な日々』

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「どん底で泥沼でハッピー。」, 2012/4/25

何が残念だと言って、この小説を読み終えてしまったこと。
ここに語られていない全てのことを、さらに知りたくなってしまったこと。
とてもこのひとたちとはお近づきにはなれないこと。
ディメトリーが家族のことを恥じながらも愛してること。
それが読んでるじぶんにも、身におぼえがあること。

何より、じぶんが大きく羽目を外したり殻を破ろうとしないこと。
放埒さに憧れながら、ひとの目を気にして常識人たろうとすること。

ほんとうはほっとしている。
じぶんがかれらのようではないことに。
ディメトリーがじぶんの生きかたを見つけてしあわせであることに。


笑っていいものかどうか。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

『北風の吹く夜には』

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「北風よりもせつなく。」, 2012/4/25

「モニタ越しの恋愛」って、あるんですよ。
出会い系サイトじゃなくたって、
顔を合わせたことなんてなくたって、
文字だけの関係なのに、恋に落ちることができるのです。

たとえば、ここAmazonの特定のレヴュアーにこころ惹かれているひとも多いでしょう。
ブログだって毎日チェックしてしまうすきなオーサー、いるでしょう。

どんどん気持ちが盛り上がって、地に足が着かなくなって、
気がつくと相手のことばかり考えていて…。
そんなじぶんよりも家族のほうが先に変化を読み取った場合、
しかもそれがパートナーだったりしたら、
恋の相手となってしまったほうはどうすればいいのでしょう。

わかっているのです。たとえ会わなかったとしても、
知られたからにはもう元のさやには戻れないことが。
かれと、彼女とその夫。
それぞれがせつない想いを抱えて生きて行かなければならないことが。



既婚者の恋の行方は…。
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2012年04月20日

『365日の寄せ植えスタイル』

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「さらに充実。」, 2012/4/20

ブログに掲載されていた寄せ植えの解説本です。
使用植物のほかに
「作り方と配置のポイント」「楽しみ方と育てかた」
が寄せ植え写真とともに各ページに記載されており、
『12ヶ月の寄せ植えレシピ』で寄せ植えに親しんだかたにはさらに充実した内容になっています。
もちろん手順を追った写真解説部分もあり、初心者さんも挑戦しやすいと思います。

ぎゅうぎゅう詰めだとか長く楽しめないだとかの批判もありますが、
土を落として少し根をほぐすだけでも成長スペースは広がり、苗はちゃんと育ちます。
『七栄グリーンのコンテナ スタイル 』でおなじみの伊波さんなんて
なんと根洗いをしてしまうのですから、隙き間だらけの古いやり方の十倍くらい苗が入りますよ。
自分がはじめて覚えたやり方で続けたいひとはそうすればいいのだし、
いちいち目くじら立てなくても…と思います。

それに、完成した寄せ植えを楽しむのはせいぜい三ヶ月ほどでしょう。
終わった花を入れ替えたりすればまた違った表情を見せてくれます。
さて、わたしもまた新しいやり方を勉強するとしますか。
秋・冬シーズン編が発刊されるのも待ち遠しいですね。


やってみたい寄せ植えが続々。
posted by おかめ at 01:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2012年02月29日

『花言葉をさがして』

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「神は自ら助くるものを助く。」, 2012/2/28

子どもを産んだだけでは、ひとは親にはなれない。
生めば自然に育児ができるようになるなんてあり得ない。
どんな親も最低限のことをだれかに教えてもらわなければ、
ふたつとなった身が生命を維持することさえ難しくなる。

そして、ひとは愛を与えられた経験がなければ、
ひとに愛を与えることができない。

人助けをしたいと思っているひとはこの世にたくさんいるはずなのに、
どうして助けが必要なひとの声は届かないのだろう。
実は、社会的弱者は声を上げる方法すら知らないことのほうが多いのだ。

主人公ヴィクトリアは、その悲惨な過去を除けば幸運なほうだったと言えるだろう。
幼いころ里親のエリザベスに出会い、たっぷりの愛情を注いでもらえたのだ。
そのとき身につけたスキルによって、レナータに救ってもらうこともできた。

自立支援が必要な若者がじぶんの前に現れたとき、
はたして手助けができるだろうか。
それ以前に、じぶんは必要とされるようなおとなであるだろうか。
未熟な人間であり、親であることは承知している。
でも、だれかに手を差し伸べられるひとになりたい。そう思う。



面白かった!
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2012年02月15日

『解錠師』

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「そしてきみの名を呼ぶ。」, 2012/2/15

意識して声を発さないということは、実際にはかなり困難だ。
ため息、欠伸、咳払い…ことばにならない声の、なんと多いことか。
しかしこの本の主人公マイクルは、その存在さえ感じられないほどに、無音だ。
それがますます物語の緊張感を高める。

暴力や犯罪が身近にあった環境で育つと、ひとは否応なしに
その世界に引きずり込まれてしまうらしい。
似たような年頃の子どもを持つ親として、
読みながら何度マイクルを救いたいと思ったことだろう。

高校生活が語られる辺りから「これはYAだ!」と思って読み進めた。
不器用ながらも面倒を見てくれる大人が傍に居たり、
恋人同士が漫画を描き合うことによってこころを通わせて行くという展開も
いかにもYAらしい。
アメリアとの将来を予感させるラストも、
人生はやり直しがきくのだというメッセージを明確に感じさせる。
案の定ミステリの賞だけでなく、全米のヤングアダルト世代に読ませたい一般書に贈られるアレックス賞まで受賞している。

少年の成長とミステリを融合させた名作に
ロバート・B・パーカーの『初秋』があるが、それに勝るとも劣らない。
紛れもない傑作。
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2012年01月12日

『あさになったのでまどをあけますよ』

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「ひかり。」, 2012/1/12

子どもがちいさかったころ、ぬり絵を使った心理テストを受けたことがありました。
詳しくは省きますが、黄色を多用したそれは「幸福感の表れです」と評価されました。

この絵本も同じです。
表紙から朝の光が、幸福感が満ちあふれています。
じぶんが暮らしている山を、川を、海を、まちを「ここがすき」と言い切れるよろこび。
この国がそんな場所で占められているばかりでないことは、
昨年の震災で感じたかたも多いはず。
それでも、新しい朝は必ずやって来るのです。
太平洋側に住む友人何人かに、この本をおくりました。
少しでも希望を取り戻してもらえたらと願っています。

余談になりますが、ことしの山形新聞元日号には荒井さんのパラパラマンガ
『あさになったので』が掲載されたのでした。
雪融けの山から力強く前進する女の子に変わるストーリーです。
新しい朝は来るのです。


朝はだれにも明るくあってほしい。
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2011年12月24日

『怪物はささやく』

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「こころ。」, 2011/12/24

少年の心理をホラー小説として著した作品に、
ロバート・ウェストールの『かかし』がある。
この『怪物はささやく』はそれに勝るとも劣らない小説だ。

ひとは、時にじぶんの感情を押し殺してしまうことがある。
感じていないふりをすれば、何事もなかったことになるかのように。
そんなことをしても事態は変わりはしないとわかってもいるのに、だ。
主人公コナーのもとに、怪物はやって来た。
「真実の物語」を語れと。
両親の離婚に母親の病気、学校でのいじめ、馬の合わない祖母との暮らし…。
負の連鎖を断ち切るために、コナーはじぶんのこころと向かい合う。

『ボグ・チャイルド』のシヴォーン・ダウドの原案を
“Monsters of Men: Chaos Walking: Book Three”でカーネギー賞を獲得したパトリック・ネスが小説化した。
いじめっ子ハリーの心理や離れて暮らす父親、祖母の背景までダウドなら書いただろうと思われるが
ジム・ケイのイラストが挿絵の範疇を超えてそれを補い、読者に想像させる。

年をとってからのヤングアダルト小説の楽しみは、
親やそのまた親の世代にも感情移入して読めることだ。
この本はそれも充分満たしてくれる。

《2012年6月18日追記》
6月14日発表のカーネギー賞とケイト・グリーナウェイ賞の結果を、ただ驚嘆して受け入れた。
この本の原作である"A Monster Calls."が史上初のダブル受賞。
しかも、パトリック・ネスは昨年に続く受賞なのだ。
もっともっとこのひとの作品を読みたいものである。


大人が読め、だ。
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2011年10月24日

『盗まれっ子』

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「だれかの人生。」, 2011/10/5

子どものころ親に叱られたりすると
「じぶんはほんとうはどこかの国の王子さま(或いはお姫さま)なんだ」とか、
「このうちには預けられているだけで、もっと大きくなったらほんとうの親が引き取りに来るんだ」とか、 思ったりしませんでしたか。

取り替え子の話だけなら特に目新しいものはないはず。
ケイト・トンプソンの『時間のない国で』シリーズに見られるような
常若の国(ティル・ナ・ノグ)の物語なのかと思って読み始めた。

静謐と言えるほど訥々と語られるヘンリー・デイとエニデイの物語は、
じぶんの想像力の貧困さをあざ笑うかのように予想を裏切り、
ティル・ナ・ノグはわたしたちの世界に存在するのだと知る。
ただ見えないだけなのだと。見ようともしていないのだと。

成長しない身体とは裏腹に、精神面では老成して行く盗まれっ子たち。
何が悲しいと言って、じぶんが生きるはずだった人生を
他人が歩んでいるのを見ているほど辛いことはないのではないか。
だから忘れるように務めなければならないし、仲間にもそう言われるのだが、
そんなことは出来ないし、したくないエニデイ。
取って代わったその相手を身近に感じながらおびえて暮らす新しいヘンリー・デイ。

ニアミスを繰り返しながら物語は進み、ラストはふたりの選択を祝福するかのようだ。
ファンタジーに分類されるであろうこの物語だが、
ノンフィクションなのかと思うほど胸に迫る。


はぁ…。
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2011年08月24日

『僕は、そして僕たちはどう生きるか 』

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「梨木さん、ですか。」, 2011/8/23

タイトルが哲学っぽいのでエッセイだと思って読み始めたら
中学生のオトコの子が主人公で、ひとりで暮らしてて(夢みたい!)、
いつまでも少年のような叔父や友人たちといっしょに
自然と共生して行く様子が描かれ、ひととひととの関わりや
生き方を模索して行く…という物語でした。
何ページめからか、川端裕人さんの小説を読んでるような錯覚を覚えました。

でも、そこに通底しているのは間違いなく梨木さんのスピリットで、
川端さんなら書かないであろうエピソードも織り込んであります。

わたしが気になったのはノボちゃんの引っ越しのハナシ。
緑を見ただけで毛虫やらヤブ蚊やらを想像して気持ち悪くなってしまう隣の奥さん。
こういうひとは自分が食べる緑のことは平気なんだね。
虫がいなかったら花も咲かないし実も成らないっていうことを
考えたことがないんだね。
じぶんも園芸をやっていて、そういう苦情を言われたことを思い出しました。

ほんとうに怖いのは、そんなちょっとしたことで誰かの意見に同調してしまい、
それが大多数になると後に引いたり立ち止まって考えることができなくなること。
この本のタイトルには「ひとりひとりがちゃんとじぶんの考えを持つように」
という願いが込められていると思います。


いつ読んだんだっけこれ。
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2011年06月25日

『真昼の女』

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「子ども時代の喪失。」, 2011/6/25

子どもが子どもとして可愛がられ、守られるようになったのは、よくよく現代のことだ。
20世紀初頭は『ちいさな労働者』というドキュメンタリー小説にもあるように
貴重な労働力として頼りにされていたのである。
発展途上国ではいまだに重宝がられているではないか。

そんな時代に生まれ、両親、特に母親との人間関係を築くことができずに育った女性が主人公だ。

見た目のうつくしい姉マルタとは対照的に、学問に於いて秀でているヘレーネ。
父親は彼女が七歳の頃から、自身が経営する印刷工場の帳簿付けを任せる。
彼女はそれだけに留まらず、やがて看護士としての技能、知識を身に付け、医学を志すようになるのだ。
現代であれば、そんなことは容易いのだろう。
しかし、彼女が生きていたのは男尊女卑の顕著だった時代であり、
戦火がいつ消えるとも知れない不安な世の中だったのだ。
当時の風俗が丁寧な裏打ちの上に描かれ、それを知るだけでも面白い読み物になっている。

冒頭、彼女はじぶんの子どもをとある駅に置き去りにする。
ひとはじぶんが育てられたようにしか子どもを育てられない傾向が強い。
彼女もまた子どもと愛情にあふれた関係を築くことができないでいたのだ。
しかし「真昼の女」に取り憑かれたヘレーネには、子どもを置き去りにし、
ほかに育ててくれるひとのもとへと託すのが精一杯の愛情表現だったのだろう。

甘いハッピーエンドを期待してエピローグを読んだ。
親に捨てられた子どもはこころに深い傷を負い、
だれに対しても愛情を持ち得ない人間に育っていた。
東西ドイツという特殊な国家を背景に、ひとりの女性の人生を濃密に描き切った問題作。
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2011年06月23日

『彼女のためにぼくができること』

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「問題のない家なんてない。」, 2011/6/23

相変わらず信じ難い家庭環境のティーンエイジャーが登場する。
これほどひどい親と生活しなくてはならないとは、考えたくもない。
なんて、この国でだって、日々新聞・ニュースを賑わす児童虐待の惨状には
見聞きすると気分も気持ちも悪くさせられる。

ほんとうに信じ難いのは、友だちをひとりぼっちにしないために
「醜く太ったままでいる」ことを実行している主人公のほうだ。
モービーなんて、白鯨にちなんだニックネームまで貰っている。

クラッチャーの小説には必ずほかの大人も憧れる行動をとってくれる
魅力的な大人が存在している。
今回はレムリー先生と神父であるエラビーのお父さん。
社会的な思想と宗教について、アメリカならではの興味深いディベートが行われる。
日本ではこれほど深く話し合い、考え続けることは高校の授業では難しいだろう。
実際には、この先生きて行くためには必要なことなのに。

どの家庭にもひとつやふたつ、ひとには言いたくない複雑な悩みがある。
それでも、それを乗り越える方法があるはずだ。
じぶんのために「醜く太ったままでいる」友人を見つける必要まではないけれど、
この本を読むと、少なくとも、生きるチカラが湧いて来る。


そして、願わくば、
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2011年06月07日

『ヴァレンタインズ』

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「恋人たち。」, 2011/6/7

ひとはじぶんの見たい物だけを見て、信じたいことだけを信じる。
とはよく言われることだけれど、じぶんが長年信じて来て
考えたこともなかったことが起こったとき、どんな行動を採るのだろう。

例えば「一月」。
元恋人とよりを戻したいのに躊躇しているうちに、
「明日の朝、入院するの」
と言われたら。

例えば「五月」。
ずっと連れ添って大学生になった娘もいるのに、妻に
「わたしは同性愛者なの」
と告白されたら。

「恋人たち」というタイトルがついたこの短編集には
たったひとつの嘘やちいさな隠し事からひび割れてゆく人間関係、
些細なきっかけから本心とは裏腹な行動をとってしまう
愚かなこころの機微が捉えられています。

他人の不幸だから安心して読んでいられるけれど、
時折身につまされるエピソードに出会うと、竦みます。

それにしても、アリス・マンロー、ウィリアム・トレバー、アリステア・マクラウド、 そしてこのオラフ・オラフソン。
寒い国の書き手は、自然描写も人間描写もうますぎる。


身近にありそうで。
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2011年05月28日

『音楽の在りて』

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「モーさまの世界を文章で。」, 2011/5/28

萩尾望都のファンだったら、いえ、ファンでなくても
そのマンガを読んだことのあるひとだったら、
読みながら登場人物や場面、背景、コマ割り、ネーム、
ありとあらゆる情景を思い浮かべられるのではないでしょうか。
最近の絵柄はこのころのものとは変わってしまっているし、
だからこそ、当時の絵で。

わたしがこころ惹かれる『美しの神の伝え』はとても哲学的。
神への挑戦というよりも、自分自身がどこから来たのかを知りたいという欲求が
根底にあるのだと思う。
春狂いは言う。
「…考えない、ということは、たくさん失ってしまうことだ」

もちろんほかの作品もさまざまなことを考えさせてくれる。
だからこのひとの描くマンガ、大好きだったんだなぁ。
読むことをやめられなかった。
『A-A’』のアディのことばを借りれば
「引きよせられる…」
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2011年05月17日

『チェスをする女』

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「ささやかな人生。」, 2011/5/17

ひとはどんなときに絶望するのでしょう。
地震で家を失ったら?
津波に家族をさらわれたら?
ええ、それはそうでしょう。

でも、いちばん苦しいのは「じぶんであることを認められずに生きること」ではないでしょうか。

古い因習に縛られた社会があるのは日本だけではないのですね。
端から見ればおかしなことが正しく、正常と思われることが変わっていると見なされる。
「みんなちがって みんないい」
そういうふうに多くのひとが思っているのに、
どうしてたったそれだけのことをすることがこんなにも難しいのか。

多くの女性が自分自身を否定され、虐げられて来ました。
じぶんを殺して婚家や或いは他人のため、
特に男性のために仕えることを強いられて来ました。
これは「軽々と」その垣根を越えた女性の物語ではありません。
しかしながら、古い因習を捨て去ることのできないオトコたちよりも
はるかに「じぶん」を持ち、貫き通すことにより、
周囲を動かした彼女に対し、強い憧れをおぼえます。

あなたはあなたでいいんだと、認め合える家族でいたいと思います。


強くありたい。
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2011年02月05日

『小説のように』

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「わたしに似たひと。」, 2011/2/5

「事実は小説より奇なり」とひとは言う。
たしかに、世の中に、じぶんの身近にでさえ信じ難い出来事は少なくない。
それが世間を大きく騒がすようなスキャンダラスなものではなくても、だ。

十の物語のうち、最後の「あまりに幸せ」は実在した女性数学者の一生を
最期の数日を描きつつ振り返ったもの。これほどスケールは大きくはないけれど、
ほかの九編は身近な誰かの、あるいは自分自身の人生の一部と言っても過言ではない。
ああ、冒頭の「次元」もそれほど頻繁にあるシチュエーションとは言えないか。
あってほしくない、というのが本音だ。

どれもこころにちくりと針を刺されたような読後感がある。
とりわけ「子供の遊び」「女たち」「深い穴」…。
深い雪に囲まれて読んだせいか「木」も、ひとの愛情と生活について考えさせられた。

でもいちばんすきなのは「顔」。
ウォルター・デ・ラ・メアの"Away"という詩が、とても象徴的に使われているのだ。
原詩はこちらのサイトで見られる。
http://www.humanitiesweb.org/human.php?s=l&p=c&a=p&ID=482&c=224
ウィリアム・トレバーといい、このマンローといい、
人生の酸いも甘いも噛み分けた短編の名手たちには、まだまだ驚嘆させられる。


もっと読みたい。
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2011年01月19日

『シカゴよりとんでもない町』

シカゴよりとんでもない町.jpeg

「やっぱり、」, 2011/1/19

トシとったらこんなクソババアになりたいと願ってしまう。
だって、粋で豪儀で豪気で剛毅。
カッコよすぎなんだから。

施しをするとき、ひとは無意識のうちにかなりの優越感を持って事に当たるだろう。
それとわかるような親切は親切ではないとはよく言われるが、
これほどまでに当人たちに惨めな思いをさせずに
ありとあらゆることをやってのけることができるとは。
いま日本じゅうにはびこっているタイガーマスクも真っ青だろう。

いつこのシリーズを読んでも泣けるのは、登場人物たちの敬虔さのせいだ。
牧師さんがひとこと発する度に聖書のどの箇所からの引用なのかの合いの手が入る。
知識とか教養とか、そういったことからほど遠いように感じられる人々なのに、
実際にはそうじゃない。爪を隠してる鷹なのだ。
その信仰の精神はとても真似できない。
持っているものを惜しみなく与えるという精神も。
あ、持っているというのはちょっと違うか。
何もないところから作り出して与える知恵の素晴らしさよ。

ならず者であっても、救いようのない馬鹿であっても、
コミュニティの一員として受け入れ居場所を確保する。
それも劇的な演出で。

…やっぱり、こんなクソババアになるの、無理だわ。


このシリーズはホント面白いのだ。
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2010年11月10日

『月の花』

月の花.jpeg

「喋喋HB。」, 2010/11/10

絵ばかりが取り沙汰されてしまうのは仕方がないとしても、
かれの持つ世界観を感じないのはもったいないのではないかしらん。

薄気味悪いほどの古びた屋敷。
ひっそりと隠れているような庭。
そこで暮らす男と不可思議な生き物たち。
『崖の国物語』シリーズのイラストレーター、クリス・リデルや
『スパイダーウィック家の謎』シリーズのトニー・ディターリッジなどとは
また違ったキャラクターを生み出しています。

そして花。
まるで愛するひとの笑顔を見たいがために四苦八苦するように、
花が咲くためなら男は何でもやってみます。
花には花の時間が流れていることはすっかり忘れているようです。
けれど、かれが待ちに待った末にうつくしさを目にすることができたとき、
わたしはすっかり嬉しくなってしまいました。

アイナール・トゥルコウスキィについては巻末に詳しく紹介されています。
「鮮やかな説明はしばし、謎をさらに謎めかせる」
というかれの言葉どおり、深読みし過ぎちゃいけないのかも知れません。
かれはただ描くことが楽しくてしょうがないということなのでしょう。


さらに細かい。
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2010年04月30日

『どこでもない場所』

どこでもない場所.jpeg

 「二度あったこと。」, 2010/4/26

三作めともなれば飽きが出て来そうなものだが、
幸いにしてわたしにはまだ新しいものを楽しむ能力があるらしい。
だまされているとわかっていても、
ゴンザルヴェスの絵を見ると嬉しくなるのだから。
頁を繰れば、すぐにその不可思議な世界に引き込まれる。

精神的に疲れた日などは特に、彼の絵の登場人物になりたいなどと夢想する。
トレッキングをしているつもりが遺跡探索に。
波乗りの白い泡が山の万年雪に変わる境に。
うたた寝をしているソファーには打ち寄せられた貝殻がまとわりついている居間に。
そんな場所にいたいと思わされてしまう。
じぶんが楽しむ能力を発揮しているのではなくて、
ゴンザルヴェスに引き出してもらっていることに気がつく。

この本を開いているときは、じぶんに現実からの逃避をゆるす。


なお、原書のページでは四枚のイラストが見られる
『錯視芸術の巨匠たち』という本にもゴンザルヴェスを紹介した章がある。
こちらは二十人の作家が取り上げられているので興味のある方は参照されたし。


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2010年02月20日

作家の訃報。

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 二〜三日前、朝倉久志さんの死亡記事を見た。
 きょうは瀬川康男さんだ。


昔はこのひとの絵、苦手だったな。
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2010年01月20日

『とむらう女』

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「おとむらい師。」, 2010/1/20


近年つとになじみになった言葉でいえば「納棺師」である。
主人公イーヴィのおばさんの仕事だ。
報酬や見返りを求めないので、仕事というよりは「人助け」かもしれない。
映画『おくりびと』でのうつくしい所作と
生前のそのひとらしさを生かした死装は、まだわたしたちの記憶に新しい。

母親が亡くなり、おばといっしょに暮らすことになった少女の
こころの変化と成長を、その一年を通して細やかに描いている。
19世紀半ばのアメリカ開拓時代の物語だが、
日本でもまだ家族や集落の女性が納棺の支度をするところがある。
防腐の技術が進むにつれて、それは男性の仕事となり、
悲しみに暮れる家族の代わりにというよりは
忌み嫌われる作業の代行という形になって行ったのだ。

欲を言えば、亡くなったひとがまだ生きてるようだという見た目の話だけでなく
血の通わなくなった死体がどのくらい冷たいものなのか、
実際に触ったひとでなければ伝えられない驚きも書いてほしかった。
死者を悼むということがどんなことなのか、
経験の浅い読者にはもっと感じられただろう。


……。
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2009年12月05日

訳者謹呈。

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 白水社から分厚い段ボールが届く。


えっあたしゃ何も買ってないよ?
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2009年10月21日

『夏への扉』新訳版

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 言わずと知れたSF小説の金字塔。
 それがことし新訳版が出たのだ。


どれどれ。
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2009年08月18日

『素数たちの孤独』

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「双子素数。」, 2009/8/18

だれでもいささかのコンプレックスや過去の傷を持っている。
そして、それをまるで何もなかったかのように忘れたふりをしたり
気づかないふりをして生きる術を身につけて行く。

この小説に出てくるふたりには、そういうことが全くできない。

子どものころの深い傷から立ち直れないまま、
ふたりとも自傷を続けている。
だれかに救い出して欲しいのに、そのだれかが見つからない。
親さえもどう手助けしたらいいのかがわからない。
みな実生活ではいつも正しい答えを選ぶことができないのだ。

連続するふたつの素数の間には、必ずひとつの偶数が入っている。
社会を構成するのは三人からだが、ひとつの偶数分の距離が
あやういバランスを保っているのかも知れない。

じぶんが思春期だったころを思い出しつつ、
思春期のじぶんの子どもを思いながら読んだ。
イタリアにも草食系男子がいる!と認識を新たにした一冊。
生きづらさを抱えているすべてのひとに。


ああもどかしい。
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2009年08月07日

『夜想曲集』

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 「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題がついている通り、ひとつひとつの物語には音楽が登場します。名脇役というよりも、ある意味主人公かも。


久し振りのカズオ・イシグロ。
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2009年05月14日

『パパの電話を待ちながら』

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「幸福です。」, 2009/5/13

読んでいるあいだじゅう、口許がゆるんでいました。
たくさんの微笑ましい情景がやさしいことばで描かれていたからです。
体制を批判するのにも辛辣な表現はなされていません。
それなのに、いちいち頷くことのなんと多かったことか。

読み終えて、とても満たされた気持ちで本を置きました。
幸福です。ロダーリを知って。この本を読むことができて。

"Favole al telefono"というイタリア語の
CDが出ていることを検索してみて知りました。
わたしにはさっぱりわかりませんが、毎晩ひとつずつ聞いて眠ったら
ビアンキさんの娘になったような気分に浸れるかも知れませんね。


こういう本には弱いなぁ。
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2009年04月25日

"Little People in the City: The Street Art of Slinkachu"

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「見立ての天才。」, 2009/4/25

すこし前から更新を楽しみにしているサイトがある。
それはわずか2cmほどのひとたちの日常や非日常の写真。
彼らはわたしたちと同じ社会で生活(?)している。
スリンカチュ(という発音でいいんだろうか)の手によるストリートアートである。

ところはロンドンの街中。
巨大なゴミ箱の足元でおばあさんがゴミ出しをしていたり
これもストリートアートと呼べなくもない壁の落書きを消してるひともいる。
殺人現場や麻薬の密売、旅行者たちに恋人たちとその演出には際限がない。
ただ可愛いだけじゃないのだ。

何より実際の大きさのものを彼らの寸法に合った見立てをしているのがお見事。
道路のひび割れ、雑草、表紙になってるマルハナバチ…。
じぶんがガリヴァーになってリリパット国に足を踏み入れてしまったような錯覚に陥る。
いや彼らがブロブディンナグ国に迷い込んだと言うべきか。
でもその錯覚は心地よい。とにかく観てて飽きないし、ワクワクする。

ストリートアーティストとしてよりも写真家として認められたいスリンカチュ。
とはいえこんなアートほかには誰も真似できないから、
もっともっとこのまま楽しませてほしいなぁ、と思っている。


是非見てみて!
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2009年03月26日

2009年03月22日

『猫町五十四番地』

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「子猫の眼。」, 2009/3/22

特別にぐさりと刺さることばが並んでいるわけではないのです。
読んでいると、じぶんが子猫になって母猫の傍にいて
四季を身体じゅうで受け止めているような気持ちになります。

ただどきっとしたのは「敬老の日」という詩。

おめでとう と
生まれてきて
すみません と
生きていく

いま自分はどう生きているんだろう。
「ありがとう」とか「おかげさま」と
生きていくのが理想なのですが。


すぐに読めちゃう詩集だけど。 
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2009年03月09日

『ブロデックの報告書』

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 「狂気。」, 2009/3/9

 『リンさんの小さな子』なら、好きだと言う読者が多いだろう。
 しかしこれは『灰色の魂』に印象が近い。
いやそれよりももっとずっと重苦しい空気を携えた作品だ。

 僕はブロデック、この件にはまったく関わりがない。

 この書き出しに「なんて責任逃れなことを」と思いつつ読み始めた。
けれども、時間を行きつ戻りつするその支離滅裂な物語が全貌を表すにつれて、そう自己弁護してもいい、するしかなかったのだと理解する。

 ひとは見えないものを恐れ、知らないものを恐れ、理解できないものを恐れる(それ故に心惹かれたりもするのだが)。
 そのうえ、とりわけじぶんの非道さや残虐さ、陰湿な部分を見せつけられることを恐れる。
 アンデラーは、そういう存在だったのだ。
 異質なものをなるべく遠ざけ、排除しようとすることが生物の本能であるとはしても、わざわざ異物を作り出してスケープゴートに仕立て上げる荒業は人間にしかなしえないことだろう。
 人間の尊厳を踏み躙る行為の描写には吐き気をもよおしながらも目が離せない。
 そう。途轍もなく面白いというよりはブロデックが何をしでかし、何をしなかったのか、これからどうなってしまうのか、どうするのかが気になって最後まで読み進めたというほうが正しい。

 卑小なコミュニティの中に起こる狂気を、誰のこころにも潜んでいる狂気を、ブロデックという青年に半生を語らせることによって浮かび上がらせている。
 読む者にそのことを意識させずにはおかない。考えずにはいられない。
 第二次世界大戦は、未だにこれほどの狂気を孕んでいる。


人間でないのはどちらか。
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2009年01月03日

252

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 ごめん別に話題の映画ぢゃあないのさ。


この数字は、
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2008年10月17日

『脳あるヒト心ある人』

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「おふたりの著書はほとんど未読ですけれども、」, 2008/10/17

もちろんタイトルと著者に惹かれて手に取ったのですが、わたしは楽しく読みました。
ふたりの書簡という形を取られたリレーエッセイにじぶんならどういう返事を書くだろう、と想像しながら。

だれかの日記や手紙を読むということは、それを「見てもいいよ」と言われたのでない限り秘密を覗くこと。そういう出歯亀根性も手伝って、すいすい読めました。

このリレーエッセイにもたびたび登場しますが、日本人はじぶんの意見(考え方)をはっきりと言わない、と。
それなのにひとと同じであることにはこだわり、声に出して言わない代わりに、こうしてひとの手紙を覗き見てじぶんの考え方は他人とどのくらいずれていないかを確認して安心しようとしているのでしょう。
ええ、もちろんわたしのことですが。

角田さんがあとがきに「今まで考えなかったことについて考える…」と
書かれています。いままで考えていたこと、いなかったこと、それについて考えながら読んだわたしは、大いに頷きました。


タイトルはあんまり関係ないみたい。
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2008年10月16日

『きになるともだち』

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「と・き・め・き・♪」, 2008/10/15

今回はどんなネタなんだろう…と、新刊が出るたびにわくわくします。
と開いてみたら、わくわくしてるのはオオカミさんのほうでした。
あたらしいともだちが登場するのですが、そのともだちの可愛らしいこと。
オオカミさんでなくてもとくべつに気になりそうです。

いままでは降矢さんの絵はお話のジャマにならないなあ、
ぴったりだなあ、くらいに思っていました。
でも今回はものすごくハジけてます。
浮ついたり、くさはらでのびていたりするオオカミの様子が
とっても面白いのです。
単純なお話の魅力が、何倍にも増幅しています。

高校生、中学生になったうちの子たちも、未だにこのシリーズのファン。
恋する気持ちはステキなことだと伝わったに違いありません。


かわいいなぁ。
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2008年10月01日

『6月31日6時30分』

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 kmyさんに教えていただいた本を図書館にリクエストしたら、思いのほか早くに届きました。


ほんとうに「6月31日」って書いてある!
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2008年09月16日

『どろぼうの神さま』

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 この本は読んだかたが多いかも知れない。一気に盛り上がったファンタジーブームまっただ中の出版だったからだ。


もちろんジャケ買いした一冊。
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2008年09月09日

『四人の兵士』

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「記憶。」, 2008/9/9

 これもまるで登場人物がぽつりぽつりと語り出すのをただじっと待っているかのような、ことばの少ない作品だ。語り手ベニヤの想いが行間から滲み出て来る。
 
 あるときから戦争孤児であるエブドキン少年とともに四人は暮らし始めるが、かれは字を綴ることができ、日記を付けていた。
 四人は日々のできごとを余さず記録して貰おうとする。
たとえ自分たちがいなくなっても、そうすることで忘れられない存在になるとでもいうように。

 うっかりするとこれが戦時中なのだということを忘れてしまいそうなほどのどかでたわいもない兵士たちの日常。
 それが終盤天地がひっくり返ったかと思うくらいに激しい戦闘の場面へとなだれ込んでゆく。
 そこではじめてベニヤの知る真実。
記録のできないかれは、せめて仲間の記憶を語ることで生き存えた罪滅ぼしをしているかのようだ。

 改めて、何の変哲もない日常のありがたさを思う。
 ほんとうは、だれも、戦争なんて望んじゃいなかったのだ。


マンガレリの邦訳三作目。
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2008年07月24日

『まっくら、奇妙にしずか』

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「1、3、400。」, 2008/7/24

まず、その画力に圧倒される。
1本のシャープペンシルと3年の月日、そして400本の芯を消費したと聞けば納得。
しかも、この機械仕掛けの魚といい、不思議な人物といい、
デザインという分野でも観るものを魅了するではないか。

ストーリーは排他的で欲深い人間の本質を風刺した寓話。
しかし全く重くなく、緻密な絵と裏腹にさらりと描かれている。
大人向けだと括ることなくどなたにも隅々まであまねく堪能して戴きたい絵本。

その絵に惚れたフィリップ・プルマンが"Die Abenteuer des Baron von Kraehenschreck"
(邦題『かかしと召し使い』)の表紙を依頼したほどのイラストレーター。
ブラティスラバ世界絵本原画展2007年グランプリ受賞作品。
国内で開催される「2008イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」では
この絵本の原画も特別展示され、巡回することも決まっている。
もっとほかのイラストも観たい作家である。


スゴい。
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2008年07月13日

『〈問い〉の問答』

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2008年06月12日

『密会』

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「ひとは誰でも」, 2008/6/2

失敗したくないと思いながらへまをやり、
こうしてはいけないと解っていながら愚かな真似をする。
悩みのないひとはいないし、何の問題もない家庭もない。
そういう、いわばあなたの隣人の、いや、あなた自身の物語がここにある。
結局のところ他人の暮らしがじぶんとさほど変わりないことを知って、
安心したいのだ。市井の人々の物語を読みたいのは、そんな理由からだ。

CMを作るとき、登場人物の氏名・年齢はもとより、
職業・家族構成・趣味なども考えるのだと聞いたことがある。
トレヴァーが細かな人物設定をすると知り、それと同じだと思った。
ただ彼が書くのは、B面のほうなのだ。
たった三十秒ほどのフィルムから、わたしたちはどれほど多くの情報を
読み取ったり、あるいは想像していることだろう。
もちろん、作者の足元には遠く及ばないのだが。

翻訳者のアンソロジーだった『聖母の贈り物』と比較すると
皮肉っぽい文章は鳴りをひそめ、冷静な観察者としての
作者が浮かび上がってくる。こちらのほうが押し付けがましくない。
でも、じぶんの秘密には不安が残る。
トレヴァーには、もう知られているかも知れない。 


短編の名手、ウィリアム・トレヴァーによる十二作品。
posted by おかめ at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2008年05月26日

『Erotoscope』

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この荷物を待っていました。
Alibrisはユーズドのショップをまとめたサイトです。


買ったのはこれ。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(3) | TrackBack(0) | 読む

2008年05月22日

『チューバはうたう−mit Tuba』

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「なぜ。」, 2008/5/22

なんでチューバなの?

主人公の母親のことばではない。
手前のことで申し訳ないが、わたしが息子に言ったことばだ。
高校入学と同時に吹奏楽部に入った彼は、チューバを吹くことになったのだ。

楽器を演奏したい者のほとんどが、スタープレイヤーを目指しているのではないだろうか。
吹奏楽でのチューバの立場は、ほんとうに縁の下の力持ち。
ただひたすらにベースを刻み続ける、だけだと思っていた。
ところが親バカなものでチューバが主役の曲や演奏を探してみたら、これが思いのほかたくさんあるのだった。
チューバに対する認識を新たにしているときに、この本に出会った。

これは、チューバを知り尽くしているひとにしか書けないよなぁ。
「なぜ?」という質問に軽々しく答えることなどできないほどに、チューバが自分と同化しているのではないかとさえ思えてくる。
ラストのライブの臨場感、ここまで文字の力で音楽を聴かせるとは恐れ入った。

さてこの作品、シカラムータの大熊ワタルに捧ぐ、とある。
この本を読んでチューバに興味を持った方は、是非そちらのHPもご覧いただきたい。曲にも触れていただきたい。

チューバは礎であり、黒土であり、大地であり、その上に空の丸ごとと、空を飛ぶ鳥たちを支えるのだ。


血が沸き立つのを感じる。
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2008年05月11日

『あなたはそっとやってくる』

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「それでも、」, 2008/5/11

さまざまな社会問題を織り込みながら、現代に生きるティーンエイジャーたちを描き出して来たジャクリーン・ウッドソン。
本作もその例に漏れません。
分類はヤングアダルトですが、どんな世代のひとも考えなければならないテーマです。

「初恋」のすばらしさやつらさを描きたかった。

という著者のことばどおり、切なくて苦しくて悲しい、それでもなお、ひとがひとを好きになるということのすばらしさが伝わって来ます。
現実は差別と偏見に満ちあふれ、主人公ふたりの前途は多難なことが目に見えていますが、好きになることに理由はいらず、ただ好きになることが差別や偏見を乗り越えるたったひとつの、そして何よりも単純で難しい方法であることを教えてくれます。

初恋がこれからのひとにも。
遠い記憶の彼方に過ぎ去ってしまったひとにも。


憶えてますか。
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2008年04月27日

『くまとやまねこ』

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「時間薬。」, 2008/4/25

たいせつな誰かを喪失した悲しみを知ってしまったこころ。
それを癒すのは悲しむことを否定しないことであり、「時間薬」が効いて来るのを待つことでしょう。
そうしてあしたへの一歩を踏み出せるようになるまでの残されたものの姿が、この絵本には描かれています。

死んでしまったことりをうつくしい箱に入れて肌身離さず持ち歩くくま。
ほんとうにたいせつに思っていたことがよくわかります。
モノトーンのなかにほんの少しピンク色が使われていて、思い出がいきいきと蘇るさまや、再生して行く様子が効果的に暗示されています。
読むもののこころの中にも、灯りがともります。

ほとんどの作品で「死」を題材にしてきた湯本香樹実さんの物語に酒井駒子さんが静かでうつくしいイラストを沿えました。
子どものためというよりは「喪失」を知っている大人のための絵本です。

残念なのは、帯に「感動の絵本」とわざわざ銘打ってあったこと。
読者はそんなに鈍感ではないし、感動は教えられて覚えるものでもないはず。
このような売り方はいいかげん食傷気味です。
出版社には再考をお願いしたいです。


抱きしめたくなります。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2008年04月13日

『中国地方の建築家28人とつくるあなたの家』

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ちゅうねずさんより献本を拝受いたす。

あるときは神出鬼没のブロガー、またヒマのあるときは突撃のアングラー、しかして、その実態は?


ふっふっふ。
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2008年03月23日

『また会う日まで』

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「音楽があるだけだ。」, 2008/3/22

身体中に刺青を刻み付けた父親を母とふたり追い駆けてさまざまな町を漂流し、さらには自身が多くの女性に翻弄されてしまうという下ネタ話に辟易とした上巻。
その波を潜り抜けて真実が明かされて行く下巻。
全編を通して映画を観ているようだ。しかも教会オルガンが流れている。

久し振りにアダルトチルドレンということばを思い出した。
幼少期に傷ついた自分を可哀想に思うあまり、大人になっても自分を甘やかして律することのできないだらしのない人間にしか見えないジャック。
それなのに惹き付けられて先を急ぐように読んでしまったのは、彼が人生をどう立て直したのかを知りたかったからに他ならない。

アーヴィングの自伝的小説ということも相まって興味はさらに尽きず、書くという作業によってかれもまた精神の浄化を得られたのだと理解できる。
小説とは作家が自分を切り売りするようなものだと言ったのはだれだったか。
かれはここに全てを書くことができたのだ。もはや切り売りではなく。


読み終えてぐったり。
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2008年03月04日

『死刑』と『それボク』。

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『死刑』を漸く読み終わった。


・・・・・。
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2008年02月25日

『こいぬ、いたらいいなあ』

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「4人は冬も元気!」, 2008/2/25

おかしきさんシリーズその2。
相変わらず仲よく(?)ケンカしている4人は
きょうもおかあさんに「ケンカするならそとでして!」。
そして、窓の向こうの雪景色にすっかりこころを奪われます。

大人と子どもそれぞれの本音がしっかり書いてあります。
子どもたちの表情や仕草がよく描き分けてあり、
かわいくてかわいそうで、ついこころの中で応援してしまいます。

終わりはちょっと安易かなとも思いますが
4人はやっぱり元気がいちばん。
裏表紙まで楽しんで下さい。


久しぶりに絵本。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2008年02月21日

『灯台守の話』

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「アウトサイダーを選び取る人生。」, 2008/2/21

孤児シルバーの運命を描きながら、百年前に生きていた
ケープ・ラスに灯台を作った男の息子、バベルのことが語られてゆく。
入れ子になった物語が物語を生み、交差し、終わりがない。
ところが、灯台守には終わりの日がやって来て、
シルバーはひとりブリストルの町に暮らさなくてはならなくなる…。

ひとは知らないものや簡単には理解できないものを怖れる。
自分たちの仲間とみなさないものに対して、非常に排他的だ。
あからさまな嘘をつき、手ひどい意地悪を施しながら
コミュニティに入れないことを正当化する。
アウトサイダーをアウトサイダーたらしめているものは、
周囲の人々に他ならない。
孤児であり、作品や自分自身を非難され続けた作者と重なる。

それでも物語ることによってシルバーも作者も生き直す。
わたしは何度も戻って読み直した。
愛を、確認した。


もっと読みたい物語。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2008年02月17日

『魔法!魔法!魔法!』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ短編集

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「魔法はあなたの隣にも。」, 2008/2/17

ジョーンズの魅力がぎっしり詰まった短編集です。
"Unexpected Magic:Collected Stories"から十五編(『海駆ける騎士の伝説』は一冊の本として既刊されているので除外)、"Stopping for a Spell"収録の三編が収められています。
特別イヤなひとに振り回される話や昔語り風なもの、SFチックな物語にやっぱり魔法が主役のものとバラエティーに富んだ内容で、読者を飽きさせません。

とりわけ作者が自分の子ども時代のことを書いたエッセイは自分ではどうしようもできないでいるうちにやっかいごとに巻き込まれてしまうというジョーンズお得意の小説の原点のようです。
私生活をネタにして伝説やSF、ホラーにまで想像の羽を伸ばす彼女には脱帽。
個人的には『ちびネコ姫トゥーランドット』『ダレモイナイ』『ぼろ椅子のボス』などがお気に入りです。

魔法は日常にもあるのです。
それが見つけられたら、いまよりもっと楽しいと思いませんか。


やっと読めた〜。
posted by おかめ at 21:51 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2008年02月09日

『ガッチャ!』

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「Swing-GOTCHA!」, 2008/2/9

皮肉屋、減らず口、イタズラ好き。どこからどう見てもクソじじいだ。
いくら深刻な大事故を起こしたとはいえ、
更正プログラムにこんな老人の相手をするなどムリ!
ところがひょんなことから掛けがねが外れて行く。

ジャズギターの手ほどきをしたり受けたりしながら、老人さえも人生を学ぶ。
「お前たち若者は60過ぎたジジイがなにをして来たかなんて考えない」
ちくしょう、その通りだよ。自分たちだけが何かをしていて、
親や祖父母の世代が何かをして来たとはアタマをかすめもしない。

多くのひとが自分自身の問題よりも
ほかの誰かの問題について考えるほうが楽だろう。
適切なアドバイスさえしてあげられるはずだ。
そう。自分を甘やかしていたいから。

老人にひとと関わることを再び選択させ、
少年にこの訪問を続けようと決心させたのは
"All Blues" Miles Davis
音楽にはひとを結びつける力がある。
ひとを通して自分を見つめさせてくれる何かがある。

ああそれから、この作者、家族や病気のことを書いて
泣き笑いさせた前科があるから、そのつもりで。


あぁ面白かった!
posted by おかめ at 23:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2008年02月08日

完遂したことがありますか。

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TVコマーシャルを観て、思わず後先考えずに購入してしまうところでしたわ。


やばいやばい。
posted by おかめ at 01:11 | Comment(5) | TrackBack(0) | 読む

2008年02月02日

『耳なし芳一』

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『耳なし芳一』

ご存知ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の名作を雰囲気たっぷりの絵本に仕立てました。


憶えておいでですか。
posted by おかめ at 23:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2008年01月27日

『古教会への誘い』

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『古教会への誘い』

例によって図書館にリクエストして買ってもらいました♪
戦前に建設された聖堂が残っている教会が撮影されています。


知らず手を合わせてしまいます。
posted by おかめ at 22:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2008年01月20日

『エピデミック』

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「希望。」, 2008/1/20

こんなに真っ黒なページの川端裕人を読むのは何作ぶりだろう。
もちろん文字数が少ないからといって中身が薄いというわけではないのだが。

しかしまあこの際、相変わらずネーミングセンスが悪いとか、どの作品のヒロインも似たような性格だとか境遇だとかという設定には目を瞑ろう。
「疫学」という分野の専門用語をわかりやすく解説してくれる小説を書かせたら、たぶんこのひとがいちばんだ。
ところがそのわかりやすさ故か、物語を複雑に絡ませたり謎が謎を呼ぶような展開にするのは苦手のようだ。
読者はあまり振り回されることなく読了できてしまう。
面白いのに、そこが少し物足りなさを感じさせる。
国や政治家の薄汚い面ももっと書きこむことができたのに。
でも踏み込み過ぎないところが川端のいいところなのだろう。
そのおかげで『エピ』というテーマに絞りきれている。

最近の彼のブログで取り上げられたさまざまな話題や本が、この小説に集約されている。
彼の科学や自然に対する考え方がよく表れていると思う。

P.224の棋理のことばがこころに残っている。
「絶対なんてことは、ありえないんだ(中略)…きみは、まだまだ生きられる。今はつらいかもしれないが、踏みとどまるんだ」

ひとは希望があるからこそ生きられる。
科学的な謎解きとともに何度も語られる「人間も生態系の一部」だということ、そして「希望」がこの小説のテーマなのだと思う。


一読の価値あり。
posted by おかめ at 15:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2008年01月10日

『日経 五つ星の美術館』

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「わたしの町の美術館。」, 2008/1/9

世の中に行ってみたい展覧会、展示会は多々あれど、
さて、行きたい美術館となったらどうだろう。
メディアで大きく取り上げられることの多いところは、
労せずして名前が挙がるだろう。

展示が突飛なところではなく、地域に根ざした活動をしているか、
次世代へのアプローチはどうか、独自の運営力はどうかなど、
美術館に限らず取り組まなければならないような事柄が調査の対象となっている。
それら日本の美術館が抱えている課題は、
おのずと「おらが町」の美術館の実態と比較してしまう。

もともと美術館にランク付けはそぐわないのかも知れない。
けれどもそういったことを抜きにしても、
この本が紹介している美術館には一生のうちにぜひ足を運びたいものだ。
そのくらい魅力的な美術館がたくさん紹介してあるのだ。
そして、自分の町の美術館をもっと素敵な空間にしたいとも思った。

行ってみたくてうずうずします。
posted by おかめ at 00:30 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2008年01月01日

『左右の安全』

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『左右の安全』アーサー・ビナード


「日本語の海を自在に泳ぐ。」, 2008/1/1

日本語を母語としないこのひとは、思考も日本語で行うのでしょうか。
それくらい不自然な言い回しがないのです。
しかもすきな語法もあるみたい。
「○○なのだ/〜だけれど」
というふうな。

表題作は、それは男性ならば必ずいちどは悩むことなのでしょう。
勝手に性的なイメージの薄い人物だと思っていたわたしには、
軽いショックとともに一気に親近感が湧き上がるのを感じました。

でもこの季節、やっぱり『万人のバースデー』を推します。
それは日本人ならではの〈数え〉の計算法。
百年ほど前のジャパン紹介本には
「いまいましい」とさえ書いてある数え年。
それをかれはなるほどと思ってくれたのです。

何月何日に芽を出したかに関係なく
雑木林の木々は同じ風雨の中で年輪を重ねる。ぼくらも
本当はいっしょに歳を取っていく。
     ・
     ・
     ・
ミシガンと東京の間に日付変更線のみならず
国際年齢変更線もあったら面白いと、今でも思うのだ。


このひとと会って話したら、
posted by おかめ at 01:10 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2007年12月13日

『シェル・コレクター』

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『シェル・コレクター』


何年も図書館の書架から秋波を投げかけられていたのに、いまのいままで無視していたことをいまさらながらに後悔した。


もっと早く読めばよかった。
posted by おかめ at 23:13 | Comment(3) | TrackBack(0) | 読む

2007年12月01日

『親の家を片づけながら』

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『親の家を片づけながら』


この本の内容についての詳細は、レヴューを書いている方がいらっしゃるのでそちらをご覧ください。


でもわたしにはそれほどではなかったな…。
posted by おかめ at 00:50 | Comment(3) | TrackBack(0) | 読む

2007年11月15日

"Star Wars: A Pop-up guide to the galaxy"

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Star Wars: A Pop-up guide to the galaxy

もうこれでクリスマスも誕生日も終わりだからねっ。


w(( ̄ ̄0 ̄ ̄))wワオッ!!
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2007年11月12日

『それでも、ゆとり教育は間違っていない』

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『それでも、ゆとり教育は間違っていない』

寺脇研さんって、以前からお役人らしくなくて、五味太郎さんと対談なんかしたりして、ずっと気になってました。


で、読んだ本。
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2007年11月05日

"The Modern Book of Babies' Names"

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"The Modern Book of Babies' Names"
洋の東西を問わず、子どもにはよい名前、ステキな名前をつけてあげたい親心。
その願いにつけこんで応える本でございます。

ただし、英語の名前。


けっこう面白いのよう。
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2007年10月13日

読んでます♪

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とうとう『スローターハウス5』を読んでいる。
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2007年10月03日

借りて来た♪

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でもまだ読まない。
でもまだ読めない。
posted by おかめ at 23:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2007年09月28日

買ってもらった♪

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新入荷本の展示台。
『猫のゆりかご』『スローターハウス5』

なんだこれ懐かしい!と隣で叫んでいる男がいる。


だけど、
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2007年09月20日

『チャーリーとの旅』

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『チャーリーとの旅』
スタインベックが犬を一匹連れてアメリカ大陸を一周したときのエッセイ。
くしゃみでこれも思い出しました。


白状すると、
posted by おかめ at 15:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2007年09月11日

『もしも ねこが サーカスに いったら』

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きのう、講談社幼児図書出版部より絵本が届きました。
『もしも ねこが サーカスに いったら』という本。
え?わたし買った憶えないし、懸賞に応募なんてしていたっけ?


あら、なんか紙が。
posted by おかめ at 22:33 | Comment(6) | TrackBack(0) | 読む

2007年09月03日

『国のない男』―ヴォネガット知らずのヴォネガット読み。

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ヴォネガットの最新にして最後の著作。エッセイです。
取りあえず、わたしの気に入っている部分の紹介から。


…まず、折り返しの部分についている糊をなめる―ちょっとセクシーだ。…


わたしもそう思っている。
切手を舐めることも。


ヴォネガットが原稿を郵送するときのこと。
posted by おかめ at 14:40 | Comment(11) | TrackBack(1) | 読む

2007年08月24日

『1/4のオレンジ5切れ』

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「甘く狂おしい記憶。」, 2007/8/24

1942年、ロワール川沿いにあるフランスの片田舎。
九歳の少女の目から見た夏から秋への風景。
その村の近くにも、ドイツ軍は駐留していた。

果樹園の様子、釣りの描写、日々の食卓を彩る料理の数々。
登場人物たちの甘やかな響きを持った名前とは裏腹の、昏く、厳しい記憶。
その秘密を守って長く生きることの辛さ。
子どもであるが故の浅はかさと残酷さ。
どれをとっても読者の心を捉えて話さない。

読むほどに、狂おしいほど豊潤なオレンジの香りが漂っているかのような錯覚に陥る。
だれかの秘密を暴くことは、真実を知りたいという欲求と、
だれも傷つかないでほしいという気持ちが複雑に交錯する。

全てが明かされたとき、安堵の溜息を漏らすとともに
すっかり圧倒されていた自分に気づいた。
しかしそして、これは「食べることは生きること」なのだということを
再認識せずにはいられない物語である。


息を止めて読んでた。
posted by おかめ at 23:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 読む

2007年08月23日

『漂流物』、あるいは郵便物。

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『漂流物』
David Wiesner、これで三度目のコールデコット賞を受賞。
文章は一切なく、絵を読む絵本です。


ちょっと不思議な味わい。
posted by おかめ at 23:53 | Comment(6) | TrackBack(1) | 読む

2007年08月16日

『ゴールデンボーイ』

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わたしが持っている文庫本がどこかで見たような写真なのは、映画『ショーシャンクの空に』の原作がこの本に収められているから。


確かに映画もよかった。
posted by おかめ at 06:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2007年08月15日

『ジャック・デロシュの日記』

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「SOBIBORーソビブルという絶滅収容所」, 2007/8/12

「あれは戦争だったんだ……」

そんな理由だけで、やってしまったことを正当化することができたら、狂気を受容することができたら、どんなにか楽だろう。
戦争犯罪に関わる人物が家族にいたら、あなたはどうするだろう。
欧米諸国と日本との明らかな違いは、あれから何十年経とうと「罪は罪」として罰するところにある。
それはもちろん宗教や文化的な背景の違いによるところが大きいのだとは思う。
しかし、主人公エマと同じ立場になったなら、身内を告発するような真似は、わたしにはできないのではないか。

やってしまったことを忘れようと努力することはできる。
しかし、なかったことにはならない。どんなに消してしまいたい過去でも。
間違いを起こすのも正すのも人間だが、未だに間違い続けている。
それらの事実が、読むもののこころに重くのしかかって、消えない。

罪とは、赦すとは、贖うとは…。さまざまなことを考える。
そして思う。
わたしたちがすべきことは、個人を告発し糾弾することではなく、恒久的な平和を考えることなのではないかと。
負の遺産は、人類共通のものなのだから。


多くの賞を受賞したYA。
posted by おかめ at 07:35 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2007年08月09日

『ここが家だ―ベン・シャーンの第五福竜丸』

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子どもにも読めるようにと、やさしい言葉遣いで、漢字にはルビがふってあります。
でも内容は大人が読むべきもの。
アーサー・ビナードの日本語は、それを母語としているわたしよりも、息をするように自然です。

昨年の秋に出版されていた本ですが、わたしはことしの春図書館の新刊台で見かけるまで、全然知りませんでした。


Lucky Dragon Series
posted by おかめ at 07:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読む

2007年08月07日

『川かますの夏』

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「時を止めたくても。」, 2007/8/7

いまから三十年ほど前のドイツが舞台だ。
そのころ川遊びに興じたことのある大人たちには、懐かしく感じられる風景がたくさんあると思う。
感受性豊かな子どもの目で捉えられた大人たちの愚かさの、なんと確かなこと。
他人の不幸を喜んだり、あらぬ想像をたくましくしたり。
大人になるということは、そういうものを受け入れつつ、そして見て見ぬふりができるようになることでもある。
また、欠点だらけの両親についても、その観察力は細やかで、しかし温かい。
子どものほうが大人よりもずっと寛容なのだ。

こんなに薄い本だからと、最初は高を括っていた。
とんでもない。
神さまの存在と現実との狭間で揺れる子どものこころや
病気と死、友情、親子関係…さまざまな人間模様が織り込まれている。
自分たちに何が起ころうと、周囲の風景は変わらずに時を刻むことも。


大人に薦めたい子どもの本。
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2007年07月17日

『レベッカ』

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「名前のない女。」, 2007/7/17

70年前の小説とは思えない普遍性がわたしを惹き付けて離さない。
婚家での疎外感、劣等感、不安に脅えて過ごす主人公の毎日は、そのまま自分が経験したことだ。いまもしているとも言える。
それが70年前ではなく、上流階級でもないだけだ。

必死になじもうとする主人公を嘲笑うかのように、マンダレーでの日々は過ぎてゆく。死してなお元女主人であるレベッカの影はそこかしこにつきまとい、被害妄想を生み出す。
マンダレーでの居場所がつかめるかもしれないと思ったきっかけさえ、足下をすくわれるのが落ちだということが、読者にもわかる。
主人公に感情移入して読んでいたはずなのに、いつのまにかダンヴァーズ夫人の目で彼女を見ているのだ。
自分の心にもひとを嘲り蹴落としてやりたいという昏い部分があることを認めずにはいられない。

ひとによっては冗長とも思える前半の部分が、終盤の息をもつかせぬ展開を引き立てる。
はげしく揺さぶられてしまい、ただマキシムのように先を急いだ。
その先には平穏があったと思いたい。
序章に戻り、再びゆったりとした気持ちを味わおう。

訳者あとがきに作者の履歴が詳しく、小説の背景がよくわかることもこの本の魅力。
旧訳や映画を知らなくても心理劇の醍醐味が味わえる一冊。



ぜんっぜん知らなかった。
posted by おかめ at 23:59 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2007年07月11日

『1001―必ず見ておくべき世界の絶景』

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『1001―必ず見ておくべき世界の絶景』


これ、二週間じゃ足りない。
やっぱ一生手元に置いて世界一周。



すごいの!
posted by おかめ at 23:53 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2007年06月25日

『香水ーある人殺しの物語』

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えっうそこんな展開なのそれでどうなるのよどうするのよ。
なぜなの。



なぜなの。
posted by おかめ at 15:35 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む

2007年06月21日

読書ing

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ようやっと読み始めています。
周りにはべっている諸々の本を、後ろ髪を引かれる思いで切り捨てて。
だって県立図書館からの借り物なので、なにがあっても期日通りに返却しないと。



そそられる表紙〜。
posted by おかめ at 21:21 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む