
「言葉にでくわしてしまう場所。」, 2016/6/18
もう十年以上前に、銀行系クレジットカードを使っていた。
毎月届く冊子に長田さんの連載があり、とても楽しみに待っていたことを思い出す。
のみならず、そのページだけスクラップしていた。
それ以外の新聞の連載もまとめて読めるとは、なんと嬉しいことだろう。
長田さんは決して声高に本を紹介しない。
それなのに紹介された文章を読んだだけで胸がいっぱいになってしまう。
その本を手元に置きたくなってしまう。
いったいどういう魔法か。
信頼に足る文章を書くということはこういうことなのか。
145冊のうち、知っている本さえも新たな輝きを見せる。
もう一度読み返したくなる。
石井桃子さんからの手紙などはもうそれだけで物語になっているほど。
妬ましいくらい魅力的な文章なのだ。
わたしのお気に入りは『千曲川のスケッチ』を紹介した文の最後。
本というのは、場所なのです。あるとき、じぶんにとってのぬきさしならない言葉に、思わずでくわしてしまう場所のことです。
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